「本美濃紙」プロジェクト

本美濃紙プロジェクト
重要無形文化財
本美濃紙プロジェクト

千年続く伝統技術の継承

紙文化国際交流協会は、重要無形文化財「本美濃紙」の継承と保存に向けた包括的なプロジェクトを推進しています。

2015年から開始した「本美濃紙」プロジェクトは、岐阜県美濃市で1,300年以上の歴史を持つ伝統的な紙漉き技術を次世代に継承することを目的としています。私たちは文化庁、地元自治体、そして地域の職人たちと連携し、技術記録の保存、後継者育成、原材料確保、新たな市場開拓まで、総合的な支援を行っています。

ユネスコ認定の継承プロジェクト
新規継承者23名の育成(2015年以降)
技術記録350時間のアーカイブ化

主要活動内容

「本美濃紙」プロジェクトにおける主な活動内容をご紹介します。

技術継承者育成プログラム

国の重要無形文化財保持団体と連携し、本美濃紙の伝統技術を継承する後継者を育成するプログラム。5年間の長期にわたる体系的な研修を通じて、伝統技法の習得から原料栽培、道具制作まで、本美濃紙製造に関わる全工程を学びます。

育成継承者数
23名
若手継承者比率
65%

技術記録保存事業

重要無形文化財保持者(人間国宝)と共同で、本美濃紙の製造技術を高精細映像と文書で記録するプロジェクト。熟練職人の繊細な技と暗黙知を可視化し、体系的にアーカイブ化することで、確実な技術継承を実現します。

記録映像時間
350時間
技術文書化
86工程

原料確保支援システム

本美濃紙の主原料である楮(こうぞ)の安定供給を確保するため、地域農家と連携した栽培支援システムを構築。遊休農地の活用や栽培技術指導、買取保証などを通じて、高品質な原料の持続的な生産基盤を整備しています。

楮栽培面積
42%増
参加農家数
28戸

新市場開拓イニシアチブ

伝統技術の保存には経済的基盤の確立も不可欠です。本美濃紙の新たな用途開発やデザイナーとのコラボレーション、国際展開支援などを通じて、職人が持続的に活動できる市場環境の構築に取り組んでいます。

販路拡大
12カ国
売上向上率
35%

本美濃紙の特徴

国の重要無形文化財に指定されている「本美濃紙」の特徴をご紹介します。

1300年以上の歴史

美濃和紙の歴史は701年の大宝律令にさかのぼり、1300年以上の伝統を持ちます。その長い歴史の中で培われた技術は、現代まで一貫して継承されています。

  • 701年に初めて歴史文献に登場
  • 平安時代には朝廷の公用紙として使用
  • 江戸時代に「美濃紙」の名称が確立
  • 1969年に重要無形文化財に指定

独自の製法

本美濃紙は「にごし漉き」と呼ばれる独自の製法で作られます。この技法により、強靭さと美しさを兼ね備えた和紙が生まれます。

  • 「にごし漉き」による繊維の均一分散
  • トロロアオイの根を使用した独自の接着方法
  • 厳冬期の「寒晒し」による漂白
  • 自然素材にこだわった伝統製法

卓越した品質

本美濃紙は強度、耐久性、質感において卓越した品質を誇ります。これらの特性は、1000年以上経過した古文書の保存状態にも表れています。

  • 優れた保存性(酸性劣化に強い中性紙)
  • 高い引張強度と耐折性
  • 独特の風合いと光沢
  • 用途に応じた多様な厚みと質感

プロジェクトの成果

「本美濃紙」プロジェクトがもたらした主な成果をご紹介します。

継承者増加

継承者の増加と若返り

プロジェクト開始前は高齢化と後継者不足が深刻でしたが、新規継承者育成プログラムにより23名の新たな職人が誕生。特に30歳以下の若手継承者が増加し、技術存続の危機を脱しました。

継承者平均年齢15歳低下
経済基盤強化

経済基盤の強化

新市場開拓と国際展開支援により、本美濃紙の販路が拡大。職人の平均収入が向上し、経済的に持続可能な伝統産業としての基盤が強化されました。結果として、専業職人として生計を立てられる環境が整いました。

職人平均収入35%向上
技術記録

包括的な技術記録の完成

本美濃紙の製造技術を映像と文書で詳細に記録し、包括的なアーカイブが完成。これにより、伝統技術の「暗黙知」が「形式知」として保存され、より体系的な継承が可能になりました。教育現場でも活用されています。

記録完了率95%達成
地域活性化

地域活性化への貢献

本美濃紙プロジェクトは単なる技術保存にとどまらず、美濃市全体の活性化にも貢献。和紙をテーマにした観光客増加、関連産業の発展、地域アイデンティティの強化など、多面的な効果をもたらしています。

観光客数年間3万人増

「本美濃紙」プロジェクトにご参加ください

紙文化国際交流協会の「本美濃紙」プロジェクトでは、伝統技術に関心のある方々の参加を歓迎しています。 ワークショップへの参加、職人育成への支援、製品購入など、様々な形で伝統文化の継承にご協力いただけます。